📚 基本とテクニック
高品質な画像を生成するためには、プロンプトの基本構造を理解し、AIと効果的に「対話」することが重要です。このセクションでは、プロンプトを構成する要素と、出力を精密に制御するための構文を学びます。
プロンプトの基本構成要素
優れたプロンプトは、これらの要素をバランス良く組み合わせることで作られます。
- 主題 (Subject)画像で最も中心となる被写体やオブジェクトを指定します。
- 画材 (Medium)油絵、水彩、写真など、画像の表現手法や質感を定義します。
- スタイル (Style)印象派やシュルレアリスムなど、作品全体の芸術的な様式を決定します。
- 構図 (Composition)クローズアップやワイドショットなど、被写体の配置やカメラとの距離を制御します。
- 照明と色 (Lighting)「映画のような照明」や「夕暮れ時」など、画像の雰囲気やムードを演出します。
- 品質 (Quality)「傑作」や「8K」など、画像の解像度や全体的なディテールのレベルを指定します。
特殊構文の活用
キーワードの重み調整、概念の融合、LoRAの適用など、プロンプトを精密に制御するための高度なテクニックです。
構文 | 説明 | 例 |
(keyword: factor) | キーワードの重みをfactor倍します。1.0より大きいと強調、未満だと弱化します。 | (a majestic castle:1.3) |
(keyword) | キーワードの重みを1.1倍に増加させます。重ねがけも可能です。 | (((red hair))) |
[keyword] | キーワードの重みを0.9倍に減少させます。 | [blurry] |
[word1|word2] | 生成の各ステップで`word1`と`word2`を交互に使用し、2つの概念を融合させます。 | a painting of a [man|duck] |
[from:to:when] | 生成ステップの`when`(0-1の割合)で、プロンプトを`from`から`to`へ切り替えます。 | [Ana de Armas:Emma Watson:0.5] |
keyword1 AND keyword2 | 複数の概念を1枚の絵に個別に描画するよう強く試みます。意図しない融合を防ぐ効果があります。 | a cat AND a dog |
keyword1 BREAK keyword2 | プロンプトを手動で区切り、要素間の意図しない影響(色の混濁など)を防ぎます。BREAK以降が強調されます。 | red hat BREAK blue dress |
<lora:filename:multiplier> | 追加学習モデル(LoRA)を適用します。`filename`はファイル名、`multiplier`は適用強度(通常0-1)です。 | <lora:koreanDollLikeness:0.7> |
✨ 品質向上
画像の全体的な品質、解像度、ディテールを向上させるためのキーワード集です。
ポジティブプロンプト
「傑作」や「高解像度」といった言葉で、AIに高品質な画像を生成するよう促します。
masterpiece最高傑作レベルの品質をAIに要求し、全体のクオリティを向上させます。
best qualitymasterpieceと同様に、最高品質の出力を目指す際に使用します。
top quality品質を重視する際に使用する、信頼性の高いキーワードです。
ultra high resolution非常に高い解像度をシミュレートし、ディテールを鮮明にします。
high resolution高解像度の画像を生成するよう指示します。
4k4K解像度に相当する精細なディテールを求めます。
8k8K解像度に相当する、極めて精細なディテールを求めます。
UHDUltra High Definitionの略で、超高精細な画質を指定します。
highly detailed画像全体のディテールを細かく描写するよう指示します。
intricate details複雑で入り組んだ、微細なディテールを要求します。
sharp focus被写体へのピントを鋭く、鮮明に合わせるよう指示します。
tack sharp極めてシャープなピントを要求する、写真用語由来の表現です。
crystal clear水晶のようにクリアで鮮明な画質を求めます。
absurdres「ありえないほどの解像度」を意味し、品質を極限まで高めたい場合に使用します。
ネガティブプロンプト
ぼやけやノイズ、低解像度といった望ましくない要素を指定し、生成物から排除します。
worst quality最も品質の低い画像を学習データから参照しないようにします。
low quality低品質な特徴が画像に現れるのを防ぎます。
blurry画像がぼやけてしまう現象を抑制します。
jpeg artifactsJPEG圧縮時に発生するようなノイズや歪みを防ぎます。
text意図しない文字やテキストが画像内に表示されるのを防ぎます。
watermark著作権表示などのウォーターマーク(透かし)が入るのを防ぎます。
logo企業やブランドのロゴが画像に表示されるのを防ぎます。
signature作者の署名やサインが入るのを防ぎます。
ugly美しくない、不格好な特徴が生成されるのを防ぎます。
disfigured顔や体が奇形になるなど、外観が損なわれるのを防ぎます。
deformed手足が変形するなど、形状が崩れるのを防ぎます。
🎨 スタイル
古典絵画からサイバーパンク、有名アーティスト風まで、画像の芸術的なスタイルを幅広く指定します。
アートスタイル・画材・アーティスト
特定のスタイルや画材、アーティスト名を指定して、画像の雰囲気を決定づけます。
Impressionism光と色彩を重視した、筆跡の残る印象派風のスタイルを適用します。
Surrealism非現実的で夢のような、シュルレアリスムの芸術様式を再現します。
Art Nouveau曲線的で装飾的な、アール・ヌーヴォー様式のデザインを取り入れます。
Pop Art鮮やかな色彩と大衆文化をテーマにしたポップアートのスタイルを適用します。
Concept art映画やゲーム制作の初期段階で描かれるような、アイデアを視覚化したアートスタイルです。
Cyberpunkネオンとハイテクが融合した、未来的なサイバーパンクの世界観を表現します。
Steampunk蒸気機関と歯車をモチーフにした、レトロフューチャーなスチームパンクのスタイルです。
Pixel artドット絵で描かれたような、レトロゲーム風のピクセルアートを生成します。
oil painting重厚感と深みのある、油絵の具で描かれたような質感を再現します。
watercolor透明感とにじみが特徴的な、水彩絵の具で描かれたようなスタイルです。
pencil drawing鉛筆で描かれたような、繊細でモノクロームなスケッチ風の画像になります。
ink drawingインクとペンで描かれたような、はっきりとした線が特徴のスタイルです。
by Vincent van Goghフィンセント・ファン・ゴッホのような、力強い筆致と色彩の画風を模倣します。
by Alphonse Muchaアルフォンス・ミュシャのような、優雅な曲線と装飾的なデザインの画風を模倣します。
by Greg Rutkowskiグレッグ・ルトコフスキのような、壮大なファンタジーアートの画風を模倣します。
trending on ArtStationArtStationでトレンドになるような、高品質なデジタルアートやコンセプトアートのスタイルを適用します。
📷 リアル系
本物の写真のような、写実的な画像を生成します。
ポジティブプロンプト
写真の専門用語(レンズの種類、絞り、フィルム感など)を使い、現実味のある質感を追求します。
photorealistic写真のようにリアルな画像を生成するための最も基本的なキーワードです。
hyperrealistic写真を超えた、極めて写実的な表現を求めます。
skin pores肌の毛穴を描写させ、CGっぽさを減らし人間味のある質感を出します。
analog film photoデジタル写真にはない、アナログフィルム特有の質感や雰囲気を再現します。
film grainフィルム写真に見られる粒子感を追加し、ノスタルジックな雰囲気を加えます。
DSLRデジタル一眼レフカメラで撮影したような高品質な写真のスタイルを模倣します。
85mm lensポートレート撮影でよく使われる85mmレンズの画角と圧縮効果を再現します。
f/1.8絞りを開放し、被写界深度を浅くして背景を美しくぼかします。
bokeh背景の光源を玉ボケにするなど、意図的に美しいボケ味を作り出します。
long exposureシャッタースピードを遅くし、光の軌跡や水の流れを滑らかに表現します。
ネガティブプロンプト
アニメやイラスト風のスタイル、写真の失敗(露出過多など)を排除し、リアリティを高めます。
animeアニメ風の絵柄が混ざるのを防ぎ、写実性を高めます。
cgiCGで作成したような不自然な質感を排除します。
painting絵画的な表現を避け、写真のような見た目を維持します。
overexposed写真が白飛びする「露出オーバー」の状態になるのを防ぎます。
underexposed写真が暗すぎる「露出アンダー」の状態になるのを防ぎます。
bad anatomy人体の構造がおかしくなる「解剖学的破綻」を防ぎます。
cloned face複数の人物の顔が全く同じになる「クローン顔」現象を防ぎます。
🌸 アニメ系
日本のアニメやイラスト風の画像を生成します。
ポジティブプロンプト
特定のスタイルやキャラクター属性を指定して、魅力的なアニメ・イラストを生成します。
anime styleアニメ風のイラスト全般を指定する基本的なキーワードです。
anime key visualアニメの宣伝ポスターのような、高品質で魅力的な一枚絵を生成します。
studio ghibli styleスタジオジブリ作品のような、暖かみのある独特の画風を再現します。
kawaii「かわいい」カルチャーを反映した、愛らしいキャラクターやスタイルを指定します。
1girl画像内に一人の女の子を生成するよう明確に指示します。
ponytailキャラクターの髪型としてポニーテールを指定します。
school uniform日本の学生が着るような学校の制服を指定します。
cat earsキャラクターに猫の耳を追加し、愛らしさや特定の属性を付与します。
magical girl変身して戦う「魔法少女」というキャラクターの類型を指定します。
tsundere普段はツンツンしているが時々デレる、という性格のキャラクター類型を指定します。
ネガティブプロンプト
リアルな質感や作画崩壊を防ぎ、アニメ特有のスタイルを維持します。
photorealistic写真のようなリアルな質感を排除し、アニメらしい絵柄を保ちます。
bad hands指の数がおかしいなど、手の作画が崩れるのを防ぐための定番キーワードです。
extra fingers指が6本以上になるなど、余分な指が描かれるのを防ぎます。
📐 構図・ポーズ・表情
キャラクターの配置、カメラワーク、感情表現を制御します。
カメラ・構図
カメラアングルやショットサイズを指定し、画像の印象をダイナミックに変化させます。
low angle shot被写体を見上げるアングルで、雄大さや力強さを演出します。
high angle shot被写体を見下ろすアングルで、可愛らしさや弱さを表現します。
full body shotキャラクターの頭からつま先まで、全身をフレームに収めます。
close-up顔に焦点を当てたショットで、表情を強調します。
point-of-viewキャラクター自身の視点(一人称視点)で描画します。
ポーズ・動作
キャラクターの姿勢や動きを具体的に指示し、生き生きとしたシーンを描写します。
standingキャラクターが立っている基本的な姿勢を指定します。
sitting椅子や地面に座っているポーズを指定します。
arms crossed腕を組んでいるポーズで、自信や不満などの感情を表現します。
running走っている動作を指定し、躍動感のあるシーンを作ります。
looking at viewerキャラクターが鑑賞者の方向を見ているように指示します。
表情
喜び、怒り、悲しみといった感情を指定して、キャラクターに豊かな表情を与えます。
smileキャラクターに微笑みを浮かべさせ、穏やかでポジティブな表情にします。
laugh楽しそうに笑っている表情を指定します。
angry怒っている表情を指定し、厳しい雰囲気を演出します。
sad悲しんでいる表情を指定し、感傷的なシーンを作ります。
surprised何かに驚いている表情を指定します。
🛡️ 安全制御 (SFW)
意図しない不適切なコンテンツの生成を避け、安全な画像を生成するためのプロンプトです。
SFWネガティブプロンプト
NSFW(職場での閲覧に不適切)に関連する単語をネガティブプロンプトに含め、不適切な表現をブロックします。
nsfwNSFW(職場での閲覧に不適切)なコンテンツ全般を排除します。
nude裸の表現を排除します。
lewdわいせつ、またはみだらな表現を排除します。
cleavage胸の谷間などの性的な表現を排除します。
SFWのための積極的プロンプト戦略
露出の少ない具体的な服装などをポジティブプロンプトで指定し、安全な画像を積極的に生成させます。
fully clothedキャラクターが完全に服を着ている状態を指定します。
modest attire控えめで露出の少ない服装を指定します。
safe for workSFWと同義で、職場で安全に閲覧できるコンテンツを要求します。
family-friendly家族全員で見られるような、健全なコンテンツを要求します。